今や多くの人が悩みを抱える薄毛や抜け毛。中でも進行性の脱毛症であるAGAは患者も多く、専門的な治療を受けられるクリニックが増えています。しかし、進行速度が緩やかなため、「まだ大丈夫」と見過ごしてしまう人や保険適用外の治療費に受診をためらってしまう人も多いはず。
そこで今回、症状や進行、治療についてご紹介します。病院に駆け込んだときにはかなり進行してしまっていたなど、後悔がないよう正しい知識を身に付けましょう。
AGAの進行速度は個人差が大きいが基本的にゆっくり進行する
「男性型脱毛症」として知られるAGA(Androgenetic Alopecia)は、20代後半から40代後半にかけての男性に多く発症する進行性の脱毛疾患です。原因はさまざまですが、遺伝性脱毛との見方が強く、男性ホルモン「テストステロン」の減少により生成されるDHTが深く関与しています。
主に、症状は前頭部と頭頂部に見られ、生え際もしくは頭頂部、またはその両方が脱毛し薄くなっていくのが特徴です。中には1年ほどで大きく減ってしまう人もいますが、基本的に進行速度は緩やか。最初に気になり出してから徐々に薄毛が目立つようになるまでには、5年程度時間を要するのが一般的です。若くして発症した場合は進行速度が速い傾向にありますが、治療の効果も若ければ若いほど有効です。
AGAが急激に進行することはある?
もし突然脱毛・薄毛が現れた場合は。AGAではなく他の脱毛症が原因か、もしくはAGAとの併発が考えられます。なぜなら、AGAによる脱毛症は基本的に進行速度が緩やかで、徐々に薄毛が目立つようになるからです。進行に個人差があるといっても、数日・数週間単位で脱毛部を形成することは考えにくいとされています。
AGAの進行パターンは、前頭部(生え際)・頭頂部からの薄毛です。後頭部や側頭部に見られる薄毛や一部分だけがまとまって脱毛している症状は、AGAとは別の脱毛症である可能性が高いでしょう。脱毛・薄毛は種類によって治療や対処法が異なりますので、「脱毛・薄毛=AGA」と決めつけず、原因を明らかにして適切なケアをすることが重要です。
AGA以外の脱毛症の進行速度
AGA以外の脱毛症として、よく知られているのは円形脱毛症ではないでしょうか。「10円ハゲ」とも呼ばれ、コイン大ほどの範囲で脱毛が起こる疾患です。特徴は、進行が早いこと。ストレスや出産、アトピーなどが原因とされることが多く、単発型の円形脱毛症なら早ければ3〜4カ月、遅くても1年以内には治癒するといわれています。円形脱毛症は自然と治ることもありますが、再発や全頭脱毛症への進行の恐れもありますので、決して楽観視はできません。
また、栄養不足やホルモンバランスの乱れなども薄毛の原因として挙げられます。いずれも進行が早く、年単位で進行するAGAとは脱毛の進行速度が大きく異なります。生活習慣の見直しやセルフケア、サプリなどで改善が期待できますので、早期の段階で専門医に相談しましょう。
AGAの進行段階は大きく分けて7段階(Ⅰ〜Ⅶ)に分かれる
AGAによる脱毛は、ハミルトン・ノーウッド分類によって進行段階が識別されています。この分類はAGAの研究により、進行パターンを分類した医師・ハミルトン氏と、その分類を改良したノーウッド氏に由来しており、徐々に進行していく症状に合わせタイプと段階が示されています。
主に、進行パターンは、額の両端が後退しておでこが広くなっていくM字型、頭頂部が円形に脱毛していくO字型、前頭部全体が後退していくU字型の3種類に分類され、さらにその組み合わせや脱毛の具合によってⅠ〜Ⅶ型までの進行度合いがわかるようになっています。
Ⅰ型 | AGAの初期段階。見た目では分からない |
Ⅱ型 | 生え際の薄毛がM字型に進行し始め、若干見た目にも分かる程度 |
Ⅱ型 vertex | Ⅱ型+頭頂部の薄毛がO字型に進行し始める |
Ⅱa型 | Ⅱ型+前頭部全体の薄毛が進行し始める |
Ⅲ型 | 生え際がはっきりとM字を形成している状態 |
Ⅲ型 vertex | Ⅲ型+頭頂部がO字を形成、頭皮が見え始める |
Ⅲa型 | Ⅲ型と同じ。U字というよりよりは緩やかなM字の状態 |
Ⅳ型 | 生え際がM字に後退+頭頂部がO字に薄くなっている状態 |
Ⅳa型 | Ⅳ型+前頭部がさらに後退しM字からU字を形成 |
Ⅴ型 | 生え際のM字がさらに進行、頭頂部も頭皮の露出範囲が広がる |
Ⅴa型 | Ⅴ型+前頭部と頭頂部の脱毛部が一体化する |
Ⅵ型 | 前頭部から頭頂部にかけて頭皮が露出した状態 |
Ⅶ型 | 頭頂部からさらに後退し、後頭部にも範囲が広がっている状態 |
M字の進行速度
M字型AGAは、生え際の両端が後退し、前髪を上げるとおでこがMの字の形になることが特徴です。ハミルトン・ノーウッド分類におけるⅠ型~Ⅴ型がM字タイプに当てはまり、O型との併発もよく見られます。
M字型AGAは、他の型に比べて進行速度が特別速いわけではありませんが、おでこの生え際は頭頂部などに比べると毛髪の密度が低いため、少し抜けただけでも地肌が見えてしまい、急激に進行したように感じてしまうことがあります。また、前髪を下ろしている人は薄毛になっていても目立たないので、発症していることに気が付くのが遅れるケースも考えられます。
U字の進行速度
おでこからUの字を描くように症状が現れるU字型AGAは、前頭部全体が後退していく脱毛パターンです。ハミルトン・ノーウッド分類では、Ⅳa型~Ⅶ型に該当。
U字型そのものの進行速度は他の型と変わりありませんが、M字型やO字型との併発が多く、その場合はM字型・O字型のみのケースよりも進行速度が速く感じてしまいます。放置していると脱毛は広範囲におよび、最も薄毛が目立つタイプともいえます。しかし、おでこ全体に症状が現れるため、鏡でも初期に違和感を覚えやすいので、比較的早期の段階で発症を認識できるのもU字型の特徴です。
O字の進行速度
O字型AGAの特徴は、頭頂部が円形に脱毛していくことで、頭頂部から脱毛範囲が広がっていくことです。ハミルトン・ノーウッド分類では、Ⅱ型 vertex~Ⅲ型 vertex、およびⅣ型以降に見られます。頭頂部はつむじとの区別も付きにくく、初期の段階で見極めることは難しいかもしれません。
また、自分では見えにくい場所でもあり、家族や友人に指摘されて初めて気が付く人が多いことも事実です。進行すると脱毛は前頭部、さらには後頭部にまで広がってしまう傾向にあります。
AGAの進行は治療しない限り止まらない
AGAは自然と進行が止まったり、完治したりすることは難しい疾患です。大切なことは、できるだけ早く治療を受けて進行を抑えること。症状が深刻化すれば、それだけ時間も費用もかかります。初期の段階では気付きにくいケースもありますが、AGAの可能性が疑われる場合、まずは専門医に相談してみることをおすすめします。
現在AGAの一般的な治療は投薬ですが、生活習慣を見直し、発毛/育毛剤を使ったヘアケアを行うことで症状の改善につながるケースもあります。
AGAの進行を遅らせる方法
AGAは、遺伝的な要素が大きいとされていますが、脱毛が起こる原因は、普段の生活習慣とも深く関係しています。できるだけ早い段階で専門的な治療を受けることが改善の近道ですが、脱毛予防や育毛・増毛のためにセルフケアに取り組むことも大切です。薄毛が気になり出したら、以下の点に気を付けて生活するようにしましょう。
- 過度なストレスを抱えこまない
- 栄養バランスの取れた食生活を心がける
- 過度な飲酒・喫煙を控える
- 十分な睡眠を取る
その他、自分でできる対策としては、頭皮の環境を整えて抜け毛を防ぐアミノ酸系シャンプーや発毛剤・育毛剤を使ったヘアケアを取り入れるのもおすすめです。また、医療機関での治療は主に投薬、植毛、光治療が行われていますが、中でも投薬は有効性も高く最も浸透している治療法です。セルフケアと併せて考えてみるのもよいでしょう。
治療方法 | 期待できる効果 | 効果を感じるまでの期間 | 費用目安 |
アミノ酸系シャンプー | 頭皮環境を整える | 1,500〜5,000円/本 | |
発毛剤・育毛剤 | 発毛・育毛 | 3〜6カ月 | 3,000〜5,000円/本・個 |
投薬(内服・外用) | 脱毛抑制・発毛促進 | 3〜6カ月 | 3,000〜15,000円/月 |
投薬(注入薬) | 脱毛抑制・発毛促進 | 3カ月〜 | 2〜6万円/回 |
植毛 | 増毛 | 1〜2週間 | 30〜200万円/回 |
抜け毛・薄毛が気になったらAGAクリニックを受診
AGAは、早期の段階で治療を始めることで進行を抑え、症状の改善が期待できる疾患です。完治することは難しく、確実に症状は進行するため、抜け毛や薄毛が気になるようなら、できるだけ早いタイミングで専門医の診断を受けることが大切です。
AGA治療は、自由診療なので費用はさまざまですが、初診料は高くても5,000円ほどです。また、治療費も症状の程度や使用する薬にもよりますが、維持・発毛で月々1〜3万円、治療期間は最低1年を考えてください。
カウンセリングや初診料が無料のクリニックもありますので、早めの受診を心がけましょう。
AGAの診療は、オンラインでも行えます。AGA特化遠隔診療サービス「Pesod」では、医師によるオンライン診療に医薬品・発毛剤・育毛剤を組み合わせたパーフェクトトータルケアをサポート。遺伝子検査に基づいた発毛のためのプログラムを策定・提供する医療機関とのマッチングが叶います。
薄毛・抜け毛が気になったら、まずは「Pesod」のオンライン診療を受けてみてはいかがでしょうか。
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